<国際ハッカー集団アノニマス>ダークヒーローを応援してしまうのは人情
<国際ハッカー集団アノニマス>ダークヒーローを応援してしまうのは人情
「アノニマス」のマークといえば、「V」のマスク。あの笑っていながら泣いるようにも見える、赤らんだ頬のヒゲマスク。映画「Vフォー・ヴェンデッタ」(監督ジェームズ・マクティーグ、脚本ウォシャウスキー兄弟・2005)以来、「抵抗と匿名の国際的シンボル」としてお馴染みだろう。
今では世界のみならず日本国内でもパーティやロックフェスティバル、ハロウィーンで「V」のマスクは定着した。筆者もパーティ・イベント用にと映画公開当時、「V」のマスクを2個eBayで購入した経験があるほど身近な存在となったいる。(今はAmazonで税込1000円で買える。)
映画「Vフォー・ヴェンデッタ」冒頭で「V」が唄うように語るセリフ。
「Remember, remember, the fifth ofNovember, the gunpowder treason and plot. I know of no reason why the gunpowder treason should ever be forgot」
これは、言わずと知れたイギリスの伝統的な子守歌でマザー・グースの一説の引用。
映画は英国歴史上の実在の事件、1605年11月5日英国上院議場の火薬爆破未遂事件の首謀者ガイ・フォークスがモデルだ。今でもイギリスでは、11月5日は「ガイ・フォークスナイト」といってガイを模した人形を引き回し焼き捨てるお祭りが存在し、その日の夜は花火大会で英国の街中が大騒して楽しむのだ。
10月31日のアメリカ文化であるハロウィンを巻き込み始まるお祭りは、11月5日のガイ・フォークスナイトにクライマックスを迎える。 盛大な花火とともに街中引き車で引きずり回したボロボロの人形をたき火に放り込み、大人も子供も楽しみ喜ぶ光景は、筆者にとって奇妙奇天烈なお祭りだったのを覚えている。
楽しそうに子供が人形をたき火に放り込む、そういうお祭りだと知っていてもなんとも怖いものである。 そこには「正義と悪」、もしくは「正義か悪」二極だけの綺麗ごとでは立ち行かない、歴史上の忘れてはならない事件・出来事があったのだ。
ガイ・フォークスはウェールズでは国家反逆者的存在、スコットランドでは自由のために戦った英雄的存在。法に触れてでも「誰かがやらねばならぬ」と、大きな権力に反逆する存在、そう、ガイ・フォークスはダークヒーローなのである。
「アノニマス」との共通項はマスク(匿名性)だろう。マスクは、同時に人格矯正装置であり様式美。今風に言えば「中の人」が変わろうともマスク(匿名)さえあれば、フィクション・現実世界問わずダークヒーローは時代を超えて存在し続ける、というわけだ。
「アノニマス」の決め台詞は「We are Legion(大群)」ですが、大群とは一体何人くらいいるのだろうか?
ネット上で、 その質問にアノニマスは「9000以上だ!」と答えている。実はこれは、ドラゴンボールのベジータがスーパーサイヤ人化した悟空の戦闘力をスカウターで計測したときに、
これは「ギャップ萌え」というところだろう、国際的ハッカー集団という恐るべき存在がジャパニメーションに影響を受けまくってるところに正直親しみが湧いてしまう方々が多い筈。
2014年の中国・香港へサイバー攻撃予告の理由は、香港での民主的選挙を求めるデモの弾圧に対し行うというけん制であった。 実存したダークヒーローのガイ・フォークスを象徴とした「アノニマス」。
そんな現実やフィクションのダークヒーローたちを応援したくなってしまうのは人情ではないだろうか。
<東京五輪の喫煙環境論争の影でJTの努力>愛煙家と嫌煙家は共存していける
筆者は愛煙家と嫌煙家は共存していける、と常々考えている。
因みに筆者はタバコが吸えない体質で、副流煙で眩暈を起こしてしまい頭も働かなくなるのだ。
しかし、長年「文化」として確立しているものを排除することはとてつもなく難しいことは何方でもお分かりだろう。税収の過去から今を考えると「反対」できない、する考えもない。
「タバコ反対!」「喫煙反対」と声をあげるのは簡単だ。しかし煙草税収入の代案ありきの「反対」なのだろうか。
東京五輪・パラリンピックの「スタジアム」「シンボルマーク」とトラブル論争を巻き起こす最中、次の論争は「タバコ」。「喫煙環境」である。
東京都内の屋内施設を「全面禁煙」にするのか、「分煙」していくのか、東京都条例をめぐった議論に終わる気配は無いようにみえる。
東京都内に「禁煙・分煙」を義務付ける都条例化について「東京都受動喫煙防止対策検討会」は、昨年11月から5回開催されてきた。5回目の会議(3月31日)で「条例化を見据えて受動喫煙防止対策を再検討する」という提言をまとめる予定だった。ところが、土壇場になって「全面禁煙」を主張する条例推進派が、まとまりかけの提言にNOと言い出した。この結果、予定外の第6回検討会が5月29日に開催された。
検討結果として「2018年までに、条例化について検討を行う」「国に対しては、全国統一的な法律での規制を働きかけること」など、条例推進派の主張寄り「提言」となった。
この「検討会」の12人の検討委員のうち8人が医療関係者であったことも強く影響しているようだ。
受動喫煙防止をめぐって遡ること、昨年2014年末の12月25日に、都知事定例記者会見にて舛添都知事は、タバコの「分煙条例化」の可能性を問われた際、
「飲食店などで分煙にしたいがお金がなく工事費が出せずにいる方に都が援助することで間仕切りをやれば、受動喫煙の防止になる。条例化にいく前にそれらの施策をまずやることが必要。」
と、政治的な判断をしている。
それにもかかわらず、一部の検討委員が「条例化」へと突き進んだ形となった。
この条例化前提の発言に対して、なんでも「条例化」するのは愚かだと、ジャーナリストの大谷昭宏氏はイギリスの葉巻文化を例に挙げ、以下の持論を述べている。
「イギリスのホテルはシガーバーを用意するのが一つのステータスで、それによってホテルの品格が担保されているのです。イギリスは先進国でありながら明文化された憲法がありません。憲法なんてなくても政治は回っていくし、その根底には人々がお互いに気遣うマナーがあるのです。煙草を吸わない方々は愛煙家が集うシガーバーに行かなければいいだけで、それが真の“分煙”だと思います」
この大谷昭宏氏が推奨している「葉巻文化」だが、「葉巻」と言われてもピンとこない方が多いと思う。
筆者はここ1年ほど都内コンビニエンスストアでタバコ売り場スペースに「葉巻」が置かれていることに随分違和感を感じている。どうやら「タバコから葉巻へシフトチェンジ」しようとしているのではないか?と、調べてみた。
実は既にJT(日本たばこ産業)が日本国内に「シガーバー」を展開し、啓蒙活動をしていることがわかった。 東京都内に展開するシガーバー「le Connaisseur」を運営する株式会社コネスールは、JTの「ビジネスアドベンチャー制度」に基づく第1号実施案件として1997年に設立されました。(現在2015年、都内7店舗展開。)
レアなプレミアムシガーやこだわりの喫煙用品を各社取り揃え、「選び方・吸い方・楽しみ方・通販」などのサービスの他、大切なシガーにベストフィットする数々のドリンクに加え、サイドメニューやカフェもある。タバコを吸わない人でも入りやすい場所となっているのである。
実際に渋谷と六本木の「le Connaisseur」へ行って数時間過ごしてみたが、通常飲食店の5倍の換気システムとオゾン脱臭装置を完備し、もはや普通のバーより清浄な空調であり、非喫煙者である筆者が愛煙家の方々と上質な時間を共存できる心地よい空間になっていることに驚かされた。
条例化を検討するよりも、このような「シガーバー」が東京だけでなく地方都市へも普及すれば、結果として完全分煙化の役割を果たすことができるのではないだろうか。
JTは、このお店だけでなく、これから「シガーバー」を開業したい人に向けて、様々な助言や、煙草販売の免許等についても相談に乗っているのだ。 無論、JT発信のシガーバーは国の税収源である。
「シガーバー」となるわけだ。
誰にも迷惑かけず、1本を1時間くらいかけてゆっくりと「葉巻」を燻らせる豊かな時間を得られることによって、自然と喫煙本数も減るので、身体への悪影響も軽減できる。
「シガーバー」に慣れ親しんだ訪日外国人の方々は勿論、そうでない愛煙家の方々も「シガーバー」をより楽しんでもらえるために、筆者はさらに増やして欲しいサービスがある。
それは、「葉巻」や「手巻き煙草」を取り扱うだけではなく、試みとして各種タバコも取り扱ってみてはどうだろう。
無論、最初は「葉巻愛好家」から大きな抵抗があるのは承知だ。
しかしながら、もし「シガーバー」で完全分煙化を実現できれば、国の税収と愛煙家と非喫煙者・受動喫煙者が共存できる。そして、この文化が定着すれば条例へ頼らずとも、今にも増して「秩序・マナーを持ち得た国、日本」へとなるのである。
去年、ヘビースモーカーで有名な養老孟司東京大学名誉教授が、フジテレビ「アウト×デラックス」に出演された。その際にマツコ・デラックスから「禁煙学会との嫌煙論争」について訊かれた、養老教授はニコニコ笑顔で、
「禁煙運動やってるひと達ね、特に禁煙学会の方々へはね、俺等みたいのがいないと、あなた方も仕事が無くなるでしょう?共栄共存、お互い末永くやっていきましょ。と、言ってるんですよ。」
と、答えた。まさに正鵠を射る名回答である。
そう、あの養老先生も、嫌煙家とは「壁を作らなかった」のだ。
繰り返すが、筆者は愛煙家と嫌煙家は共存していける、と常々考えている。
<VW社と対等に渡り合った日本企業スズキ>ゴーンに対抗できる鈴木修会長の神回避
フォルクスワーゲン社(以下VW)の「ディーゼル車排ガス不正操作問題」は北米から欧州までに及ぶ、過去最大のスキャンダルになっている。
この事件発覚直前の8月30日に提携解消を発表していたスズキ自動車(以下スズキ)が「ギリギリ間一髪、神回避!」 と鈴木修会長のタフネゴシエーターぶりが自動車業界で大きな話題となっている。
スズキはVWとの2009年に結んだ「包括的提携」を8月30日に解消し、国際仲裁裁判所を通し、VWが保有する19.9%のスズキ株を取り戻していた。
9月17日の立ち会い外取引で、かかった費用は4602億円。元々VWは2200億円余りでスズキ株を取得したが、スズキの株価上昇で買い戻し金額は約2倍に膨らんだ。
「2402億円損した!」と揶揄した方々もいたが、これには筆者も呆れるてしまう。
「2402億円」より「2.1兆円の制裁金」を免れたほうがいいのは明らかであり、なによりスズキのブランドの信頼に傷がつくことを回避できたのだから、これ程価値ある「2402億円」はないだろう。
事実、事件発覚以降は一転して「VWと手を切ったスズキのタイミングが絶妙!」「これは鈴木会長の凄い眼力?」など、スキャンダルから間一髪で逃げたスズキの神的な見識に賞賛の声が集まっている。
元々は、スズキの軽自動車の経験と、VWの「ディーゼルエンジン技術の技術交換」による技術提携とも言われた関係だが、VWから肝心の「クリーンディーゼルエンジン技術」の提供が行われなかったことが提携解消の裏側にあり、業を煮やしたスズキが2011年にFIATからディーゼルエンジンの技術購入を決定したことが、VW社とのパートナーシップが破断のきっかけになったと言われている。
あまり日本では知られていないが、この騒ぎには裏がある。
「次世代の巨大マーケットであるインドの覇権争い」だ。
インド企業との合弁会社「マルチ・スズキ」として快進撃のスズキに、低価格車での参入に苦戦していたVWが急接近し、「クリーンディーゼルエンジン」の技術を餌に提携を持ち掛けたのが始まりだと噂されている。今回の不正発覚により「ディーゼル技術が元から虚偽だったので提供できなかったのでは?」との意見もあるほどである。
今後VWには180億ドル(2.1兆円)という国家予算並みの制裁金が課せられる。
自社株を取り戻したタイミングといい、知れば知るほど、危機一髪の神回避といえる。
小さな日本の自動車会社スズキがドイツを代表する巨大な自動車会社VW相手に、堂々と対等に交渉し、ギリギリのタイミングで制裁金を免れた。
自ら車メーカー勤務、もしくは車業メーカー勤務の家族がいれは、この「対等な交渉」と「神回避」に感銘を受けた筈。
ところで、北米市場で、根っからの日本企業メーカーであるトヨタやホンダなど他の巨大日本メーカーがスキャンダルに苦しんだ最中、NISSANのみなぜ免れたのか?
そこには世界的CEOのカルロス・ゴーンの政治力があるからだ。
そして、日本メーカーの中で、唯一ゴーンCEOに対抗できる日本人敏腕経営者は、鈴木治会長であることが今回明らかになった。
世界的CEOと浜松の町工場の経営者が互角に世界市場で戦う図式は、日本人のモノ造りの原点にも繋がる。
北米市場から鮮やかに撤退し、インドビジネスにシフトしたスズキ。
そのしたたかな生き様は、今後日本のビジネスオーナー間でも、「今回の偉業は後々伝説になる。」と、筆者は確信している。
<開業51年で死亡事故ゼロ>世界一安全な乗り物「新幹線」を生んだ特攻兵器「桜花」の開発者
2015年6月27日(土) 6:30配信
<開業51年で死亡事故ゼロ>世界一安全な乗り物「新幹線」を生んだ特攻兵器「桜花」の開発者
岩崎未都里[学芸員・美術教諭]
www.excite.co.jp
***
2015年5月のアメリカ・ペンシルバニア州で発生したアムトラック鉄道事故。死者7人、負傷者200人超という大事故となりました。
アムトラック鉄道事故の原因は、時速170キロでの運行中に、カーブを曲がりきれず脱線したことにあります。しかし、日本の新幹線は遥かに早い速度200~300キロで運行しながらも、開業以来51年間死亡事故を一切起こしたことがありません。現在、日本の鉄道技術導入が米国民・議員の間でも話題に上がっています。
この世界に誇るべき新幹線の死亡事故ゼロの記録。新幹線0系車両は、元飛行機の設計者である三木忠直氏が中心になって開発されました。
三木氏は戦時中、航空機設計のエリートで、爆撃機「銀河」を1年足らずで設計する有能な技術者でした。あの特攻専用の有人ロケット機「桜花」の機体設計に、心ならずも従事。その結果、多くの若者を死なせてしまったことを知り、彼は技術者としての進退まで考えるほど、心底悔いたといいます。
戦後、新しい仕事を選ぶ時にも、決して人を死なせるものは作るまい、と心に決めていたそうです。三木氏はあるインタビューで、次のように答えています。
「自動車は、戦車になる。」
「船舶は、軍艦になる。」
「鉄道ならば、平和利用しかない。」
こうして、国鉄の外郭団体である「国鉄鉄道技術研究所」に就職し、平和利用のための鉄道開発に技術者人生を賭けて取り組みを開始します。
0系開発には、航空機開発の技術が余すところ無く注入されました。空気抵抗の少ない流線型の車体が、粘土模型で何種類も試作されました。三木氏は部下にこう説いていたそうです。
「美しい形は速いのですよ。」
彼の理想とした「美しい形」は戦時中に設計した高速爆撃機「銀河」の流麗なボディが念頭にあったようです。試行錯誤の末、新幹線の流線型フォルムは完成しました。
しかし、世界最高水準の250キロを超える超高速での走行には、車体の揺れを防ぐ技術開発が必要でした。そのため抜群の運動性能を持つと言われた「ゼロ戦」の機体の揺れを制御する技術を確立した技術者が、画期的な油圧式バネを考案し台車を完成させました。
このように超高速での振動を克服。さらに安全面を重視し、電車が近づいた時や地震があった時など、安全装置が働いて、自動で新幹線が停止するような仕組みが必要とされました。
ここでも軍で信号技術を研究していた技術者が、「自動列車制御装置」(ATC)の実験に取り掛かり、この問題も解決していったのです。
そして昭和38年、当時の列車のスピード世界記録255キロを超える時速256キロを記録し、新幹線は世界記録を更新しました。
新幹線が開通してから、2015年の今年で51年。その間、新幹線は、一度の大事故も起こすことなく、「世界で最も安全な乗り物」としての評価を不動のものとしています。
新幹線の技術は、その後の超高速列車の基本モデルとなり、「新幹線安全神話」であり続けていることは周知の事実ですね。
筆者は、三木忠直氏は世界一速いことより、死亡事故ゼロを誇りに思っていた、と確信しています。 世界で最も安全な乗り物、人が死なない乗り物、それを作った設計士の信念。「自分の技術」が若者たちを死なせてしまったという苦悩。
これが「新幹線安全神話」の原点なのだということを、零戦や戦争を美しく演出された映画やドラマに涙する日本人は知るべきでしょう。
<戦後70年「戦争と原爆」を語りつぐ>吉永小百合の朗読とジブリ美術監督・男鹿和雄の挿絵で企画展
2015年7月19日(日) YahooJapan:22:43配信
<戦後70年「戦争と原爆」を語りつぐ>吉永小百合の朗読とジブリ美術監督・男鹿和雄の挿絵で企画展
岩崎未都里[学芸員・美術教諭]
***
「となりのトトロ」(1988)、「もののけ姫」(1997)などのジブリ作品に見られる印象的な美しい背景は、広島県熊野町の「熊野筆」で描かれています。
ジブリ作品の美術監督・男鹿和雄さんが、熊野筆の描き味に惚れ込み、アニメ背景画専用に筆を特注し、そのご縁は始まったそうです。
さて現在、広島駅からクルマで30分の熊野町の山間ある文化施設「筆の里工房」において「戦後70特別企画 第二楽章 男鹿和雄展~吉永小百合と語り継ぐ~」(7月4日~8月31日)が開催中です。
女優・吉永小百合さんは主演作「夢千代日記」(NHK)以来、1986年から17年間にわたり広島や長崎にまつわる朗読をライフワークとして続けてきました。 そんな吉永さんが朗読をCD・詩画集にまとめたのが「第二楽章」です。広島・長崎・沖縄篇がありますが、吉永さんの強い希望により、男鹿さんの挿絵が加えられています。
1997年には、広島篇の朗読CDが「第39回日本レコード大賞企画賞」を受賞。今年3月11日には、福島第一原発被災者らの詩を朗読したCD「第二楽章 – 福島への思い」が制作、発売されました。
今回の企画展の本質は、日本人の「原爆・核・原発」への想い。「平和記念資料館」とは全く違います。何故なら、「戦後70年」と銘打つからには、広島と長崎、加えて男鹿さんが美術監督をしていた1983年のアニメ映画「はだしのゲン」の凄惨な絵とともに、泣かせる朗読が流れるのだろう、と筆者は思い込んでいたからです。
しかし、展示内容は「広島・長崎・沖縄」、別室に「福島」の現状を描いた「静かで美しい絵と、穏やかな朗読」。特に、川面に灯篭が灯る「夜明けの原爆ドーム」からはしばらく目が離せません。
美しい灯篭の灯りひとつひとつが失われた命。本来灯篭流しは夜行うものですが、「みる方々へ希望を与えたいので夜明けにしてください」という吉永小百合さんの意向で夜明けの灯篭流しとなったそうです。
男鹿さんの絵の訴求力はとても強く、一般市民からみた「真実」を描いているので、言葉にせずとも閲覧者方々は、人種や国籍を問わず感情を揺さぶります。この企画展の意図が強く伝わってきます。
8月31日まで開催ですので、ジブリファンならずとも、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
<F1レースで使われる「トークン」って何?>シーズン中のエンジン開発がレースの勝敗を握る
2015年6月24日(水) 6:50配信
<F1レースで使われる「トークン」って何?>シーズン中のエンジン開発がレースの勝敗を握る
岩崎未都里[学芸員・美術教諭]
www.excite.co.jp
***
久々のF1参戦のホンダエンジンに開幕戦から苦闘が続き、過去の「マクラーレン・ホンダ16戦15勝」を期待していたファンの皆様は随分ヤキモキされていることでしょう。
ホンダのモータースポーツ責任者・新井康久氏は開幕戦前のエンジン開発への質問に、
「各レースで何枚のトークンを使うかについて計画を立てているところです。」
と、語っています。
この「トークン」って、何でしょうか? 筆者は、「トークン導入って、懐かしのNYの地下鉄のコインしか思い浮かばない」と、詳細を調べ直してみました。
「トークン」=「開発点数」
今のF1では、シーズン中にエンジン開発するためには部品ごとに「トークン」=「開発点数」が必要で、勝手に改良してはならないのです。
そもそも、F1は2014年から大きくレギュレーションが変わりました。マシンのスピードを抑え、コストダウンを図るために、シーズン中のエンジン開発は禁止。
そうして、メルセデスの一人勝ちが続いたことから、2015年6月6日F1エンジン開発の凍結が事実上解除され、フェラーリ、ルノー、メルセデス、ホンダは2015年シーズンを通して定められた「トークン」=「開発点数」を利用したエンジン開発が可能とされたのです。
エンジンは、機能別に42項目に分類され、性能への影響度によって1~3の「ウェイト」が設定されています。例えばエンジンを100%変更するには各ウェイトを合計した66の「トークン」が必要となるわけです。
2015年に各メーカーに割り振られているのは、全体の48%にあたる32のトークンなのです。つまり全面変更はできないわけですね。
開幕戦の時点で、シーズンオフのエンジン開発に各メーカーが使ったトークンは、フェラーリ22(残り10)、メルセデス25(残り7)、ルノー20(残り12)となります。
ちなみに、新規参入のホンダはシーズン中に、他の3社の平均である9トークンを使用したパワーユニット開発が認められています。
冒頭で新井氏が言われた「各レースで何枚のトークンを使うか」というのは、この9枚のトークンの使い方を指しているわけです。
<ただより高いモノは無い>町中で見かける「Tカード」の個人情報だって第三者に渡るんです
2015年5月12日(火) 21:36 配信
<ただより高いモノは無い>町中で見かける「Tカード」の個人情報だって第三者に渡るんです
岩崎未都里[学芸員・美術教諭]news.infoseek.co.jp
***
1980年代、若者はみんな持っていた「丸井の赤いカード」。これを使って関東では学生やフリーターの若者が、アパートに家具・家電を買い揃え、新発売のウォークマン(当時33,000円)まで購入していた。
筆者のアラフィフの友人達は
「丸井の赤いカードは、18歳でもローンが組めて、欲しいモノが直ぐに手に入る魔法のカードだったよ。」
と、よく語ります。
そして、そのあと必ず加えられる台詞は、
「ローンの金利は、今では想像がつかない数字だったけどね。毎月支払日にはヒヤヒヤさせられたよ。」
と。簡単に手に入れられる便利なカードには、高い金利がついて回ったわけです。
そして最近、筆者が気になる存在は、街に溢れかえる「T」のマークです。「Tカード」は多種多様な業種と結びつき、コンビニ(ファミリーマート)、家電、ネットショップ、ファミレス、ガススタンド、医療・医薬品、航空会社(ANA)まで、「Tポイント」なるもが貯まります。
商品を購入するたびに百円単位でポイントが溜まり、ポイント数と同額商品を購入できてしまう、便利なカードです。簡単に手に入る「Tカード」は連絡のつく電話番号さえあればニートな若者でも発行され、入会金や年会費も無料です。
何やら「簡単に手に入る便利なカードがここに再登場!」と、言われると「高い金利がついて回ったように、なにかあるのではないか?」と考えてしまいます。
従来のポイントカードなど、会員の個人情報が登録されたカードは、自分が登録した店舗のみに保有されてきました。しかし、最近では登録先の規約変更で第三者に個人情報が渡るケースが多い傾向にあり、これは「Tカード」でも同様です。
「Tカード」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下CCC)の発表によると、2014年11月1日から個人情報の「第三者提供」を開始しています。
1.第三者への提供を利用目的とすること
2.第三者に提供される個人データの項目
3.第三者への提供の手段又は方法
4.本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること
以上の4つの条件を「本人に通知」あるいは「本人が容易に知り得る状態(ホームページにアップしてあればOK)」にしておけば、本人の合意署名・合意操作なく個人情報の「第三者提供」ができるのです。
「個人情報」はとても価値が高く、企業側も喉から手が出るほどに欲しがるものです。あのマイクロソフト社が巨額の資金でSkypeを買収したのは、Skypeユーザーの膨大な個人データを手に入れることが大きな理由に挙げられているほどです。
CCC社では、消費者行動を分析したデータを活用することで「ユーザーは買いたいものがいつでもある状態を提供する」とユーザーへのサービスやメリットを強調していますが、個人情報保護の観点から議論を呼んできたままの状態で半年経過しています。
「個人情報保護法」によると、「個人情報」の定義とは、
「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」
を指します。つまり、氏名や住所だけでなく、購入商品やDVDの貸し出し情報なども個人情報であるということです。一見、1つの情報だけでは個人を特定できるものではないですが、複数の情報を組み合わせることで、個人を特定できるものも個人情報であるのです。
ちなみに、スマートフォンの無料アプリで、TwitterやFacebookの会員情報を利用した自動認証機能などがありますが、これらも同様のケースと言えるでしょう。
簡単にFacebookの友達に占いアプリなど利用されて「広告がPC画面内に入るだけなら別にいいよ」「いや、育毛剤広告など迷惑だ!許せない」など、そんな所から始まり、「家に勧誘電話」、「家にDMが送付」なども、あり得ます。
目先のメリットに惹かれて使う前に、そのサービス・メリットの所在と目的、がどういう仕組みで提供されているのか、考えてみる必要があるのではないしょうか。マーケティング手法自体は合法的なものであり、問題は無くても、自分自身の個人情報が、知らない間に知らない所で使われていることも認識して、利用するか、しないか、を選択したいですね。
結局、「ただより高いモノは無い」のです。