~Midori's Journal~

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<VW社と対等に渡り合った日本企業スズキ>ゴーンに対抗できる鈴木修会長の神回避

フォルクスワーゲン社(以下VW)の「ディーゼル車排ガス不正操作問題」は北米から欧州までに及ぶ、過去最大のスキャンダルになっている。

この事件発覚直前の8月30日に提携解消を発表していたスズキ自動車(以下スズキ)が「ギリギリ間一髪、神回避!」 と鈴木修会長のタフネゴシエーターぶりが自動車業界で大きな話題となっている。



 スズキはVWとの2009年に結んだ「包括的提携」を8月30日に解消し、国際仲裁裁判所を通し、VWが保有する19.9%のスズキ株を取り戻していた。


9月17日の立ち会い外取引で、かかった費用は4602億円。元々VWは2200億円余りでスズキ株を取得したが、スズキの株価上昇で買い戻し金額は約2倍に膨らんだ。


「2402億円損した!」と揶揄した方々もいたが、これには筆者も呆れるてしまう。


「2402億円」より「2.1兆円の制裁金」を免れたほうがいいのは明らかであり、なによりスズキのブランドの信頼に傷がつくことを回避できたのだから、これ程価値ある「2402億円」はないだろう。


事実、事件発覚以降は一転して「VWと手を切ったスズキのタイミングが絶妙!」「これは鈴木会長の凄い眼力?」など、スキャンダルから間一髪で逃げたスズキの神的な見識に賞賛の声が集まっている。






元々は、スズキの軽自動車の経験と、VWの「ディーゼルエンジン技術の技術交換」による技術提携とも言われた関係だが、VWから肝心の「クリーンディーゼルエンジン技術」の提供が行われなかったことが提携解消の裏側にあり、業を煮やしたスズキが2011年にFIATからディーゼルエンジンの技術購入を決定したことが、VW社とのパートナーシップが破断のきっかけになったと言われている。






あまり日本では知られていないが、この騒ぎには裏がある。
「次世代の巨大マーケットであるインドの覇権争い」だ。


インド企業との合弁会社「マルチ・スズキ」として快進撃のスズキに、低価格車での参入に苦戦していたVWが急接近し、「クリーンディーゼルエンジン」の技術を餌に提携を持ち掛けたのが始まりだと噂されている。今回の不正発覚により「ディーゼル技術が元から虚偽だったので提供できなかったのでは?」との意見もあるほどである。




今後VWには180億ドル(2.1兆円)という国家予算並みの制裁金が課せられる。
自社株を取り戻したタイミングといい、知れば知るほど、危機一髪の神回避といえる。


小さな日本の自動車会社スズキがドイツを代表する巨大な自動車会社VW相手に、堂々と対等に交渉し、ギリギリのタイミングで制裁金を免れた。


自ら車メーカー勤務、もしくは車業メーカー勤務の家族がいれは、この「対等な交渉」と「神回避」に感銘を受けた筈。


 ところで、北米市場で、根っからの日本企業メーカーであるトヨタやホンダなど他の巨大日本メーカーがスキャンダルに苦しんだ最中、NISSANのみなぜ免れたのか?
そこには世界的CEOのカルロス・ゴーンの政治力があるからだ。
そして、日本メーカーの中で、唯一ゴーンCEOに対抗できる日本人敏腕経営者は、鈴木治会長であることが今回明らかになった。
世界的CEOと浜松の町工場の経営者が互角に世界市場で戦う図式は、日本人のモノ造りの原点にも繋がる。


北米市場から鮮やかに撤退し、インドビジネスにシフトしたスズキ。
そのしたたかな生き様は、今後日本のビジネスオーナー間でも、「今回の偉業は後々伝説になる。」と、筆者は確信している。